先日、家のお椀を買い替えた。
とうとうヒビが入ってしまったからだ。
かれこれ30年使ったお椀。
一人暮らしを始めた頃、たまたま通りかかった器屋で買ったものだった。
器を買うときは、なぜかふたつ買う。
実家の母にそんなことを言われた記憶があって、一人暮らしなのにふたつ買った。
それから約30年。
結婚して家族ができても、ずっと我が家で使ってきた。
さすがに縁はガジガジになって、口当たりも悪い。
そしてとうとう縦に一本、筋が入った。
汁物を入れると、そこからじわっと滲み出てくる。
これはもう、さすがにお別れだ。
次に買うなら、食洗機で洗えるお椀
お椀は、ずっと探していた。
次に買うなら、食洗機で洗えるものがいい。
これまでにも何度か「もうこれでいいかな」と思うものはあった。
でも、底が細くてちょっと不安定だったり、シルエットがシュッとしすぎていて使いにくそうだったり。
艶や手触りも、いまひとつピンとこない。
何度か妥協して買いそうになったけれど、今思えば買わなくてよかった。
そんなある日、たまたま通りかかった中川政七商店で見つけた。
食洗機で洗える漆のお椀と、ハンノキのお椀。
「あ、これだ」と思った。

形もいい。
手触りもいい。
深さもちょうどいい。
底が細すぎないので、置いたときに安定感もある。
そしてもちろん、食洗機に入れられる。
実際に使ってみると、食洗機の中にもうまく噛み合った。
色もサイズも、選べなかった
最初は色を揃えようと思っていた。
サイズは夫だけ大きいものにして、私と子どもは同じくらいでいいかな、と。
でも、いざ選ぼうとすると決まらない。
黒もいい。朱もいい。ハンノキもいい。
サイズだって、結局使ってみないと分からない。
だったら、まず全部違うものを使ってみよう。
ということで、黒の大、朱の中、そしてハンノキ。
見事にバラバラになった。

普段は、
黒の大は夫。
朱の中は子ども。
ハンノキは私。
一応そんな感じで使っているけれど、まあ、シャッフルだ。

使ってみると、大きさが違うのも案外便利だった。
特に黒の大。
たっぷり味噌汁を入れられるのはもちろん、お茶漬けや少なめの丼ものにもちょうどいい。
子どもも持ちやすそうだし、どれも手にしたときの感触がいい。

しばらく3つを使ってみて、家族それぞれ気に入った色やサイズが決まったら買い足そうと思っている。
増えた分は、来客用にしてもいい。
ネックは、一つだけ
価格だった。
お椀一つに5,000円以上する。
3つ買えば、それなりの金額になる。
一瞬、怯む。
でも、これまで使っていたお椀は、たしか1,000円くらいだったと思う。
それを30年使った。
十分すぎるほど働いてくれたけれど、最近は少しだけ思うことがある。
安いもので、何年もやり過ごしてきた時間が、ちょっともったいなかったなと。
年齢なのか。
バイヤーになって、たくさんの商品を見るようになったからなのか。
いろんな環境や価値観が変わって、最近は少しずつ、暮らしを整えることに気持ちが向いている。
だからといって、いいものをたくさん集めたいわけではない。
器も、家具も、洋服も、アクセサリーも。
価値のあるものをたくさん所有することに、私はそれほど意味を感じていない。
もちろん、羨ましくなることはある。
不要なのに欲しくなるものだってある。
でも、基本は最低限でいい。
その代わり、自分の生活の中で実際に使うもの。
毎日触れるもの。
毎日目に入るもの。
そういうものは、機能も見た目も、自分がちゃんといいと思ったものにしていきたい。

前のお椀は30年。
だから、このお椀もここから30年使ってやるつもりで買った。
30年後、77歳。
生きてるか!?